アユの生活史(いつどこにいるのか)

 アユは川と海を行き来する回遊魚で、川に棲んでいる春から秋の暮らしぶりは一般の人にも良く知られていますが、前半生である海での生活についてはあまり知られていません。

 下の図はアユの生活史(地域によって時期がずいぶん異なります。下図は高知県を例にしたものです。)簡単にまとめたものです。以下に簡単な生活史の解説を加えてみました。

 

 アユの生活史

1)遡上期

 高知県ではアユの遡上は普通2月中・下旬頃(水温10℃程度)から始まり、3月中旬〜4月中旬頃が最も活発となります。遡上はアユ漁が解禁となった6月も続いています。

遡上する上限は、遡上量が多い年には上流へと広がり、少ない年にはあまり上流まで上らない傾向があります。四万十川では昭和30年代までは東津野村までは遡上していたのですが、近年では窪川町が天然遡上の上限と言われています。早期に川に入ったものは中・上流部にまで遡上するが、5月以降に遡上したのものは下流部にとどまる傾向があります。

 遡上を促進する要因として、流量の増加があげられ、特に増水後に活発に遡上することが多いようです。

2)夏季定着期

 川に入ったアユは川底の石の表面のこけを活発に摂餌し、急激に成長します。初夏の頃になると10-20cmまで達し、この頃から自分の餌場を占有するための「なわばり」を作るものも多なります。なわばりを持たない個体は、単独行動をとるものもいますが、群を作って主にトロや淵で生活します。潜って観察していますと、なわばりを持っていてもあまり追わないアユが近年増えています。

3)降下期

 9月中・下旬から10月になると成熟し始め、産卵のために次第に下流へと降下します。親アユの降下は出水が引き金になることが多く、出水の無い年には降下が遅れる傾向があります。降下する時も遡上と同じように群をつくって移動するようです。

4)産卵期

 下流部に集まったアユは小砂利底の瀬で産卵を行います。産卵は夕方から活発になり夜間にかけて行われますが、これは天敵(鳥など)から身を守るという効果があります。

 産卵場に適した条件は、小砂利底で浮き石状態(ざくざくした状態)となった瀬ですが、近年高知県の河川では産卵場に砂泥の堆積が見られ、産卵に適した浮き石状態の瀬が減少する傾向にあります。礫の間に産み付けられた卵は、礫面に付着しますが、はがれやすく、人が産卵場を歩いただけでも卵は流失することがあります。

 産卵は高知県では10-12月にかけて行われますが、近年では暖冬傾向が強く、遅れがちになっています。

5)ふ化・流下期

 産卵された卵は2週間程度でふ化します。ふ化した仔魚は夕方から夜間に集中的に流下(川の水流に受動的に運ばれ海に達する)します。流下が最も活発になるのは午後7時前後で、昼間にはほとんど流下しません。このように夜間にのみ流下するのは、外敵(他の魚など)の目を避けるために有効な手段と考えられています。

 孵化直後のアユの体長は5-7mmで、腹部に栄養源としての卵黄を持っています。この卵黄から養分を吸収するため、3-4日間はとりあえず餌を食べなくても生きていることができます。

6)河口・海域生活期

 アユの稚魚は10月から5月まで延べ8ヶ月間も海にアユがいることになります。もっとも、一匹ごとにみると長くても5ヶ月程度で、中には3ヶ月程度しか海に棲まないものもいます。ところが、寒い地方(東北など)では海での生活期間が長く、6-7ヶ月も海で暮らしています。

海でのアユの主な生活場所は波打ち際付近ですが、20-30mmに成長したものは沖合にも分布を広げるようです。この時期のアユは主に動物プランクトン(カイアシ類)を食べています。

 近年、土佐湾の秋の水温は上昇傾向にあります。アユ仔魚は水温20℃以上では死にやすく、近年の水温上昇のために、早期(10-11月)に生まれたものの多くが死んでおり、資源減少の一因と考えられています。資源を保護する対策としては、今のところ産卵を保護する以外に有効な手だてはありません。

以後の記述予定

予想外に大きい川の収容力(どのぐらいの数のアユが川に棲めるのか?)

アユは生まれた川に遡上するのか?

アユの誕生日が分かる

天然アユと湖産アユ(放流アユ)は交配するのか?


生活史に関する参考文献



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